緩和ケアでがん患者のクオリティ・オブ・ライフを高く維持する

がん患者のQOLを高く保つ緩和ケア

全ての看護師は患者さんのクオリティ・オブ・ライフ向上に努めるべき、というのはもちろんのことです。しかし、年齢や病状によってそのための適切な看護のやり方というものも変わってきます。ここでは特にがん患者のクオリティ・オブ・ライフを高く維持するためのポイントについて説明していきます。

クオリティ・オブ・ライフを向上させる治療とは

治療とは怪我や病気を治すために必要なことです。また、それがそのままクオリティ・オブ・ライフの向上に繋がっていくので医師や看護師、そして患者さんも完治のために努力をしていきます。しかし、治療に努める＝クオリティ・オブ・ライフの向上とは限らない場合も少なからずあることを認識しておかなければなりません。
なぜならば、病気の重大さによっては完治が難しいものもあり、ひたすらその治療に努めるというのはただ辛いだけとなる恐れも存在するからです。そういった例としてはがん患者のクオリティ・オブ・ライフを考えるケースが挙げられます。末期がんなど「もう回復が難しい」となったとき治療を最優先させることがクオリティ・オブ・ライフを低下させることもあるでしょう。

緩和ケアという選択肢

そうした末期がんなど、辛い状況に置かれたがん患者の治療を考えたときには、手術や投薬といった一般の治療だけではなく緩和ケアという選択肢についても考える必要があります。緩和ケアと聞くと「治療を諦めることでは」とネガティブなイメージを抱く人もいるかもしれません。しかし実際問題として高い確率で強い副作用を招く投薬などを行いながら、治る見込みの低いがんの治療を続けていくことで最終的に患者さんは苦しみながら亡くなってしまうということも大いに起こりえるのです。一方で緩和ケアを行うことでクオリティ・オブ・ライフを最大限に保ったまま安らかに最後を迎えることも可能なのです。もちろんどういった方針で治療やケアを行っていくかは慎重に決めていく必要があります。

がん患者の気持ちに沿ったケアを心がける

最後まで治療のために頑張るか緩和ケアを行い、できるだけクオリティ・オブ・ライフを高く維持することにするかは、最終的に患者さんが決めることです。ただ、いずれにしてもその後のサポートやケアは看護師がしっかりと行わなくてはならない役割です。その際に大事なことは、患者さんの気持ちを尊重すること、患者さんを思いやった看護をやり通すことだということを覚えておいてください。