クオリティ・オブ・ライフを維持するための「在宅緩和ケア」

「在宅緩和ケア」をよく知るための本

看護師として働いていく以上、在宅緩和ケアについても知っておかなくてはなりません。直接在宅緩和ケアにかかわることは少ないかもしれませんが、今担当している患者さんやこれから看護する患者さんから在宅緩和ケアについて尋ねられることもあり得るからです。そこで在宅緩和ケアについての説明と、それに係わるクオリティ・オブ・ライフの向上について学べる本を紹介していきます。

高いクオリティ・オブ・ライフを保つ

在宅緩和ケアを求める人はどのようなことを望むのかと言いますと、それはやはりクオリティ・オブ・ライフを向上させること、またそのクオリティ・オブ・ライフをできるだけ高い状態で保つことということになるでしょう。これを聞いて「病院ですぐに医師や看護師に対応してもらえるほうが安心でき、身体的にも精神的にも満足できるのでは？」と考える人もいるかと思います。もちろんそれも間違いではありませんが、それは治療中の病気が治る見込みがあるとか、病院での治療によって苦痛が和らぐといった場合に限るでしょう。末期がんなど、治る見込みが薄く、治療も過酷なことが続くような患者さんの場合、必ずしも病院にいることがクオリティ・オブ・ライフの向上に繋がるわけではありません。

在宅緩和ケアの意義

もう治療をしても辛いだけ、治る可能性も極めて低いということになれば、住み慣れた家で家族と過ごすほうが良いと感じる人は大勢います。そのような患者さんにとっては病院での高度な治療や看護よりも在宅緩和ケアを行うほうがクオリティ・オブ・ライフを高く維持でき、少しでも豊かな生活が送れるようになるのです。そうしたメリットが認知されるようになり、在宅緩和ケアを希望する人は増えてきているということを看護師も知っておかなくてはなりません。

「穏やかな死に医療はいらない」がおすすめ

在宅緩和ケアについてより詳しく学びたいなら「穏やかな死に医療はいらない」という書籍がおすすめです。「穏やかな死に医療はいらない」では、治療が困難な病状の人に対する在宅緩和ケアの有意義性について述べられています。効果が望めない治療を続けても患者さんの苦痛は和らぐことはなく、患者さんにとっても家族にとっても在宅緩和ケアこそが死を受け入れ穏やかな最後を迎えるために必要な医療である、という意見は看護師として触れておくべき価値ある内容となっています。少しでも気になった方は、ぜひ読んでみてください。